インタビュー

Interview

超人気イベント[愛酒でいと]の背景(2)

2015 04.15
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原口起久代さん(右)とお母様の宇野和子さん

「呑(や)れんのか」???〜動員1200人のイベントを引っ張る原口起久代さん

とにかく、これまで参加しなかったことが悔やまれて……。参加20蔵を訪ねて作られたかっこいい映像、数年前に作ったというお酒の銘柄入り提灯のディスプレイ……そして、音楽が流れ、ライブがあり。これだけしてもらったら、蔵元さんもお客さんも嬉しいよね、と思われ、感動すらしてしまったのです。それを何年も続けてきた。
またまた、「日本酒のためなら」番外編の気配濃厚です。

原口◆ 今年は、映像でDVDを記念品につけたんですが、撮影には私もできるだけ同行したんです。記念品は毎回変わるので、冊子だったこともありましたね。

第1回目は、「愛酒でいと」ではなくて、前身イベントで「呑(や)れんのか!日本酒2008」
というタイトルだったんですよ(笑)。2008年4月29日、知り合いの蔵元さん、9蔵が参加してくれて、かつて勤めていたお店の新店舗、南船場の天ぷら屋さん「介」でやったんです。約120人集まってくれて。

翌年から「愛酒でいと」にして、数店舗、協力してくれるというところと組んでやらせてもらって、今のスタイルになりましたね。

飲食店と蔵元がタッグを組んでマッチングさせた「魂の肴×魂の酒」を提供する。
2009年からはじまったこのスタイルは好評を得たようで、同じスタイルで行なうイベントも増えて、現在ではかなりポピュラーになっています。

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「愛酒でいと」開始前のミーティング

2010年だけをのぞき、昭和の日という日程で行なわれてきたこのイベントは、2008年の初回ですでに120人を集め、その翌年から300人、600人(2010)、650人(2011)、900人(2012)、1200人(2013人)、1200人(2014)と、着々と増えてきています。常に完売ですから、この数字は、入場者数であり、チケットの発売数ということになります。場所させ許せば、もっと来たい人は多いはず。

原口◆ 2012年に会場を「Zepp なんば 大阪」に変えたんですが、客数が読めなくて900枚しかチケットを出さなかったんです。そしたら、即完売で、翌年から1200枚にして、以降はそのままです。これが限界で、増やすことはできないですね。

ただ、脅威のチケットバック率なんです。来られない分も想定して少し多めに販売しているんですが、今回は戻らなかったチケットは20枚くらい。飲食店さんも想定外だったようで、終盤はお酒がなくなってしまったところもありましたね。いつも1ヶ月前に完売してしまって、申し訳ないと思っているんです。ただ、屋内施設だと、現在の会場より広いところがなかなかなくて。

母のDNA

大学時代のアルバイトも飲食店で、卒業後、デパートに就職しましたが、やはり飲食店業に戻ってきた原口さん。その中で日本酒と出合います。
独立は2008年、友人の店の間借りでした。2012年、母を呼び寄せ、お店も手伝ってもらうことに。お店に伺うと、ちょうどお揃いでした。母娘で時間を分けて担当しているそうですが、息の合った雰囲気もいいですね。

原口◆ 我が家は、母の元に人が集まってくるような、たくさんお客さんの来る家だったので、子どもの頃からお客さんを家に招いて一緒に食事を楽しむというのは当たり前の光景だったんです。だから,私も母に料理を教えてもらっていて、いつか自分もそうするだろうということは、なんとな〜く、アタマの隅にありましたね。大学時代からアルバイトも飲食店でした。

今のお店を開くことになり、母に岡山から来てもらったんです。母のアパートも決めて、ほぼむりやり呼んで(笑)。右も左も北も南も分からない。電車にすら乗ったことがない状態でしたね。

大阪・本町にある「日本酒うさぎ」。北浜に新店舗「ニュー日本酒うさぎ」もオープンした http://nihonshuusagi.web.fc2.com/index.html http://nihonshuusagi.web.fc2.com/newusagi/

大阪・本町にある「日本酒うさぎ」。
http://nihonshuusagi.web.fc2.com/index.html
北浜に新店舗「ニュー日本酒うさぎ」もオープンした  http://nihonshuusagi.web.fc2.com/newusagi/

母 ◆ バスも電車も通っていない,車がないとどこへも行けないようなところだったので、いわゆる「電車」には乗ったことがなかったですね。

原口◆ それが、大阪のど真ん中で、飲食業で、若者のお客さん相手で……。

母 ◆ カルチャーショックでしたよ。それまでは朝早く起きて夜も早く寝ていたのが、お酒も飲めないのに日本酒のお店で、夜遅くまで働いて昼まで寝ている……(苦笑)。以前、アパレル関係の仕事だったんですが、それと同じくらい、料理して食べてもらって、楽しそうな顔を見るのが好きなんですよ。なぜだか調理師免許も取ってあって、仕事をリタイアしたあとは、小料理屋さんをやりたいと思っていたんです。ちょっと形は違いましたけど(笑)。

原口◆ 環境はまったく変わることになりますが、母は順応してくれると思ってたんです。

私自身も、母が働いていた頃、車で縫子さんとかをまわる時とか、デパートでのイベントとか、周りは大人ばっかりだったんですが、しょっちゅうくっついて行ってましたね。外に出ることが好きなんですよ。だから、私は大学でスワヒリ語を専攻していてアフリカに行ったりしていた時も、何も言わず見守ってくれてましたし。

母 ◆ 実はその時、さすがに心配だったので、友達に相談したんです。そしたら「あなたのDNAだからしょうがない」って。ほんとに大バカですけど、アホじゃないですから、考えてやってることですからね。このこは、動いていないとだめなんでしょうね。

 

先輩、仲間

——これだけの規模で、主催者が個人、しかも一人なんですね。

原口◆ たくさんの方にご協力やお手伝いをしていただいているんですが、主催者は私で、何かあったら、責任を取らなければならないのは私一人。その重圧はやはり大きくて、規模が大きくなるに連れて、逃げ出したいと思うときもあります。

そうは言っても、200人以上のスタッフが金銭抜きで集まってくれているわけです。特に最初の数年間は赤字が続いていたので、それでも来年もやろうと言ってくれる蔵元さんやお店の方達、ボランティアの方達が支えてくれて、続けて来られた。4年目辺りからはさすがに運営が読めるようになって、やっとバランスよくできるようにはなっています。

——原口さんがお手伝いをしていたイベントの主催者の方などもお手伝いに来られてましたね。

原口◆ 日本酒の業界ではずっと先輩ですが、私が日本酒をもっと広めたいと、このイベントを始める時も相談に乗ってもらったり、応援してくれたりしましたし、お手伝いにも来てくださって。関西は、飲食店、日本酒、業界の横のつながりが良好なので、何かやるっていうと手伝いに行きますね。

それに、この5・6年、日本酒のお店も増えましたし、お客さんも増えましたし、とてもやりやすい環境にはなってきているのは実感します。

関西だけでなく、イベントを始める前年に、東京で音楽と日本酒のイベントがスタートしていて、それに参加して、こんな楽しみ方もあるんだ、とすごく感激して、取り入れさせてもらったりもしたんです。その時もそちらの方が相談に乗ってもらったりして。みんな、大好きな日本酒を盛り上げたいという気持ちがまず最初にありますから。

だから、すごく楽しかったから、自分の地域でもやりたいって言ってもらえたりすると、すごく嬉しいですね。

「愛酒でいと」 http://aishudate.com/

「愛酒でいと」 http://aishudate.com/

8年目に入った「愛酒でいと」はたぶん一番元気で、たぶん一番古い日本酒イベント。

日本酒もバリエーションが豊富でいろんな味が楽しめるすてきな時代になっていますし、日本酒イベントも蔵元会からバル方式、縁日方式と、多様で、その数の多さは驚くほどに。地酒だけに、地元を活気づけるツールにもなっています。

そこに日本酒愛があるか、それは自ずと感じ取れるものですね。

 

***** 4月29日 「愛酒でいと 2015」 *****

【日 時】2015年4月29日(水) 14:30 – 16:30 (13:30 door open)
【場 所】Zepp なんば 大阪
【料 金】2,500円(グラス、記念品付き)
*チケットは完売しています。当日券はありません。
【問合せ】日本酒うさぎ tel:06-6944-8899 (17:00 – 23:00)

 

超人気イベント[愛酒でいと]の背景(2)

written by伝々

【伝々(でんでん)】こと、ライターの伝農(でんのう)浩子です。 音楽雑誌編集部や旅行を扱う編集プロダクションを経てフリーランスに。 国内外を扱うガイドブックで取材スタッフを続けた後、人物インタビュー、中でも日本に住み日本の伝統文化を継いでいる外国人、日本の伝統文化を海外に広めている人などを、また、ビアトリクス・ポターと「ピーターラビット」シリーズなどをテーマに取材、執筆、撮影。 その一方で、1993年から、ある日本酒の会の試飲会を手伝い、幸せそう〜に帰っていく人たちを見送ってきました。数年前からは、日本酒を取り巻く状況もテーマとなっています。 *****過去記事***** 日本酒関係  日本酒以外

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