インタビュー

Interview

「純米酒を楽しむ会」が「純愛酒義」になって帰って来た!

2016 11.26

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純米酒の歩んだ道

待っていた方、多いのではないでしょうか。毎年春と秋の年2回、近年は春に行なわれていた「純米酒を楽しむ会」。いよいよ明日、リターンです。

「従来の形のイベントは今回が最後です」

東京都・竹橋にある如水会館を会場にして続けられて来た純粋日本酒協会のイベント「純米酒を楽しむ会」。手頃な会費で参加蔵の純米酒を楽しめるとして人気も高く、40年という年月、71回を数える歴史あるイベントでした。しかし、時代に沿わないのでは、との判断で、一旦、区切りをつけて終了する一旦、閉じることにしたのだそうです。昨年の春、2015年3月11日のことでした。

それを期に、実行委員も一新。代表幹事に「千代の園」(千代の園酒造)の本田雅晴さん、総務幹事に「招徳」(招徳酒造)木村紫晃さん。イベントは、新たな形で再開するとのことでしたが、それがいつのことなのかは、未定とのことでした。

それから1年8ヶ月、「純愛酒義」!となって、帰って来ました。

近年では、主流になりつつあるといっていい純米酒。その普及に尽力して来た「純粋日本酒協会」が発足したのは1973年。

以降、「日本吟醸酒協会」(吟醸酒/1981年)、「長期熟成酒研究会」(古酒・熟成酒/1985年)、「awa酒協会」(発泡清酒/2016年)と続きますから、カテゴリー別の団体としては最も古株となります。立ち上げに参加したのは11蔵。初代代表幹事は「千代の園」(千代の園酒造)の現会長、三代目 本田勝太郎氏でした。

当初の参加蔵は下記の11社です。
「明眸」(明眸酒造・愛知県/廃業)、「招徳」(招徳酒造・京都府)★、
「玉乃光」(玉乃光酒造・京都府)★、「日出盛」(松本酒造・京都府)
「八重垣」(ヤヱガキ酒造・兵庫県)★、「菊水」(菊粋酒造・高知県)、
「玉龍」(玉龍酒造・広島/廃業)、「賀茂泉」(賀茂泉酒造・広島県)★
「冨の寿」(冨の寿酒造・福岡県・廃業)、「窓の梅」(窓の梅酒造・佐賀県)、
「千代の園」(千代の園酒造・熊本県)★
(★印は現在も在籍)

昨年より代表幹事を務められている千代の園酒造の現社長、本田雅晴さんにお話を伺いました。

——『純粋日本酒協会』初代代表幹事は本田さんのお父様でした。当時の様子をご存知でしたら教えていただけますか。

本田代表理事:当時は、三増酒(三倍増醸清酒)全盛の頃で、それではいけない、日本酒は米と米麹と水だけで造るものだと考える11社が集まり、立ち上げたのがこの会でした。

当時は、純米酒という言葉もありませんでしたし、こういう会を作ること自体にも、反発のような声がありましたね。「純米酒が本当の酒だと言うと、そうでないお酒は米を使っていないと思われる」というようなことからだったようです。関係施設で発足発表の会を開こうとしたのですが、貸してもらえず、学士会館で開いたんです。

一時期は「無添加酒」という名前で出さなければならなかった時期もあり、協会の名称を無添加酒協会としていたこともあったようです。
そのような背景もあり、敢えて、「純米酒協会」ではなく、「純粋日本酒協会」としたようです。

また、当時は、1級、2級、という級別制度だったのですが、純米酒は米だけで造るので、どうしても原価がかかる。ところが、同じ等級なのに高いのはおかしいと思われることもあり、価格を上げられないので、箱に入れて、箱代として差額分を工面していた時期もあったようです。

——そんな苦労をされた時代があったとは思えないほど、今は純米酒の勢いがあります。

本田代表理事:酒質が上がった、おいしくなった、ということも大きいと思います。最初の頃は、やはり、米の味、個性の強い酒が多かったのですが、現代では技術も上がり、旨味のあるお酒からすっきりしたものまで非常にバラエティがあるお酒が造れるようになっていますからね。

純米酒に関しては、会で毎年、2回、独自に品質研究会を開いて、春の新酒、秋の冷やおろしをチェックしているんです。研究会独自の基準を設けてあり、パスしたものに関して、以前は会で発行しているシールを張って出荷できるようにしていました。現在は、品質保証書を各社に発行しています。特定名称酒の中で純米酒は、「米と米麹で造り、麹米使用割合が15%以上」という定義です。現在は、純米酒の精米歩合は規定されていませんが、本会では、65%以下とするなど、より厳しい基準を設けています。ただし、研究会のときには、基準に合わなくても、メンバーに利いてほしいということで、出品する人もいます。そうして、酒質を上げる努力をしています。

*酒税法の「清酒」の定義(日本酒造組合中央会HPより)

清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が22度未満のものをいう。
イ) 米、米こうじ、水を原料として発酵させて、こしたもの
ロ) 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(米こうじを含む。)の重量の100分の50を超えないものに限る。)
ハ) 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

(日本酒造組合中央会HPより)

——初代が本田さんのお父様だったように、リスタートを切るに当っても、本田さんからスタートということなり、まさに、世代交替を感じさせます。

本田代表理事:今は出席する蔵元も、さらに次の世代に変わっています。今回のイベントは、そういった若手のメンバーが中心となって進めてきました。私は、前の代と若手とのちょうど間くらいなんです。前の世代の意志を次へつないで行く役割だと思っています。

純米酒の歩んで来た歴史を踏まえ、きちんと伝えながら、純米酒こそが本当の日本酒である、と声を上げた人たちの心を伝え続けて行きたいですね。今回のイベントでは、そういった歴史もパネルで展示して、知ってもらおうと思っています。

酒造りの技術革新は目覚ましく、更においしくなっていくでしょう。生活に彩りと安らぎを与える一役として、傍らに純米酒があるように、これからも努力していきたいと思っています。

——ありがとうございました。どんな形でリニューアルされるのか、楽しみです。

純米酒が主流になりつつある今、かつて、「純米酒」という言葉すらなかった、ということは考えが及ばないことかもしれません。遥か以前は、酒といえば、今で言う日本酒であり、純米酒、しかなかった。しかし、アルコール添加という技術を得たことで、三増酒の時代に入ります。造り手のプライドとして、それに反発し、アルコール添加をより良い方向で活用し添加する醸造アルコールにも気を配ったお酒、そして、本来の形に戻ろうとしたお酒・純米酒へと続いていくのです。安心しておいしく飲めるお酒への追求は常に続いています。

今回のイベントを進めて来た若手の方がたも、先達の努力に敬意を評しています。
若手代表の方からひと言。
「今回のイベントでは今や当たり前になった「純米酒」が歩んできた道、それと純粋日本酒教会がどう関わったのかなどを参加者の皆様に知っていただきたいと考えています」

日本酒近代史の横顔に触れて杯を傾ければ、更においしくなるのではないでしょうか。あとは、楽しくいただくだけ、ですね。

【純米酒を楽しむ会】

日時:平成28年11月27日(日)14:00 ~ 16:00 受付開始:13:00~
場所:大崎ブライトコアホール
チケット販売期間:平成28年10月15日 ~ 平成28年11月26日 受付順
チケット購入はこちら(イープラス
チケット(入場券):5,000円、定員:300人、当日券もあります。
問い合わせ先:純粋日本酒協会 担当/久保木 03-3760-0086

【参加蔵】

01)「米鶴」(米鶴酒造・山形県) 02)「東力士」(島崎酒造・栃木県)、
03)「澤乃井(小澤酒造・東京都) 04」「七賢」(山梨銘醸・山梨県)、
05)「手取川(吉田酒造・石川県) 06」「招徳」(招徳酒造・京都府)
07)「玉乃光」(玉乃光酒造・京都府) 08)「八重垣」(ヤヱガキ酒造・兵庫県)
、
09)「御前酒」(辻本店・岡山県) 10)「賀茂泉」(賀茂泉酒造・広島県)、
11)「李白」(李白酒造・島根県) 12)「七田」(天山酒造・佐賀県)、
13)「千代の園」(千代の園酒造・熊本県)

 

「純米酒を楽しむ会」が「純愛酒義」になって帰って来た!

written by伝々

【伝々(でんでん)】こと、ライターの伝農(でんのう)浩子です。 音楽雑誌編集部や旅行を扱う編集プロダクションを経てフリーランスに。 国内外を扱うガイドブックで取材スタッフを続けた後、人物インタビュー、中でも日本に住み日本の伝統文化を継いでいる外国人、日本の伝統文化を海外に広めている人などを、また、ビアトリクス・ポターと「ピーターラビット」シリーズなどをテーマに取材、執筆、撮影。 その一方で、1993年から、ある日本酒の会の試飲会を手伝い、幸せそう〜に帰っていく人たちを見送ってきました。数年前からは、日本酒を取り巻く状況もテーマとなっています。 *****過去記事***** 日本酒関係  日本酒以外

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