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“乾杯から日本酒”という石塚英彦さんの酒蔵リポートに密着

2017 04.30
松本酒造寝室にて。左から松本日出彦さん、石塚英彦さん、高橋正典さん(日本酒先生)
松本酒造試飲室にて。左から松本日出彦さん、石塚英彦さん、高橋正典さん(日本酒先生)

「日本酒はもっと世界に知られていい。その一助になれば」

近年、日本酒が注目されてうれしいことの一つとして、酒蔵や飲食店を紹介してくれる良質な番組が増えているということがあります。
そんな中の一つ、「石ちゃんのSAKE旅」松本酒造編の撮影風景を取材させていただきました。
プライベートでも日本酒が好き、という、グルメリポーターの石ちゃんこと石塚英彦さんによる酒蔵リポート。Amazon プライム・ビデオの「石ちゃんのSAKE旅」は、2月から配信され、話題になっています。

➖➖配信中➖➖

  1. 日本酒の常識をぶち壊した銘酒「獺祭」
  2. 最高ランクの日本酒を生み出した蔵元「黒龍」
  3. ライバルは世界のワイン「醸し人九平次」
  4. 希少!究極のオーガニック日本酒「月の井」
  5. 女性杜氏が造る美酒「富久長」
  6. 流行に左右されない王道の熟成酒「菊姫」
  7. 古の技法を受け継ぐ酒「郷乃誉」
  8. 若き兄弟が醸すフレッシュな酒「陸奥八仙」
  9. 進化を続ける永遠の未完成「田酒
  10. 香り酵母の求道者が辿り着いた酒「来福」
  11. 伝統と革新のコラボレーション「守破離」
  12. 岩手から世界へ伝統への挑戦「南部美人」
  13. 売り切れ御免!若き蔵人が造る「二兎」
移動中は入念な打ち合わせ。敷地内には、建物の外壁に犬矢来

移動中は入念な打ち合わせ。敷地内には、建物の外壁に犬矢来

お酒を造っている人、造っている場所、造られる様子を見ることができて、お酒もいっそう美味しくなります。それに、本当にお酒の好きな人が誠意を持ってリポートしてくれている様子も伝わってきます。取材された蔵元さんたちも、同様の感想を話してくれ、楽しそうな撮影風景が想像されます。

現在の本社酒蔵は、平成19(2007)年に、近代化産業遺産(経済産業省)で「伏見の日本酒醸造関連遺産」として登録されました。傍らを高瀬川が流れています。

主役は人気の「守破離」です
今回登場の、伏見の老舗酒蔵、松本酒造は、寛政3(1791)年に京都・東山で創業し、大正11(1922年)に現在の伏見に移転しました。レンガ作りの建物もあり、佇まいが印象的です。

蒸米、仕込みなどの蔵で。「醸し人 九平次」で修行したことから、蒸米を重視する松本さん。四角い甑を使用しています。

蒸米、仕込みなどの蔵で。「醸し人 九平次」で修行したことから、蒸米を重視する松本さん。四角い甑を使用しています。

案内してくださった松本日出彦さんは次男で杜氏。当初は醸造と無関係の大学に進んだ後、東京農業大学へ。卒業後は「醸し人 九平次」で3年の修行を経て2008年に蔵に戻ったのだそうです。そして、杜氏さんの元で2年の修行を積み、2010年から杜氏に。10代目蔵元となるお兄さんの圭輔(けいすけ)さんが、経営・営業を担当されているそうで、イベントなどではよくお見かけします。兄弟で蔵を支えていくことになります。

「ENTER.Sake」でもお馴染みの「澤屋まつもと」。先日、東京で行われた「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」でも松本さんがプレイ。酒蔵の試飲室にターンテーブルなどのセットが置いてありました。(左から、松本日出彦さん、石塚英彦さん、高橋正典さん)います。松本さんもかつてはプロのDJを目ざしていました。いざ、仕事を探そうという段になって、本気で自分の進むべき道を考え、蔵に戻る決心をしたのだそうです。
石塚さんも「酒蔵の人たちには、それぞれドラマがありますよね。いろんなことを抱えておいしい酒造りをしているんですね」と。

リッチー・ホーティンの「ENTER.Sake」でもお馴染みの「澤屋まつもと」。先日、東京で行われた「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」でも松本さんがプレイ。酒蔵の試飲室にターンテーブルなどのセットが置いてありました。(左から、松本日出彦さん、石塚英彦さん、高橋正典さん)

リッチー・ホーティンの「ENTER.Sake」でもお馴染みの「澤屋まつもと」。先日、東京で行われた「CRAFT SAKE WEEK@六本木ヒルズ屋台村」でも松本さんがプレイ。酒蔵の試飲室にターンテーブルなどのセットが置いてありました。

香りがよくわかるように、試飲は大ぶりなワイングラスで。

香りがよくわかるように、試飲は大ぶりなワイングラスで。

守破離とは師の元で学ぶための姿勢を3段階で表した思想

現在、松本酒造のメインブランドとなっている「澤屋まつもと」は、叔父の松本庄平さんが立ち上げたブランドだそうです。そして、そこから、新たに松本さんが生み出したのが、今回の主役、「守破離」。 「『日本酒』の代わりに『守破離』と口をついて出そうになるくらい、まいうーなお酒ですね」と石塚さんも大絶賛。

お酒のリポーターを引き受けることに逡巡したと話していた石塚さん。 「無色透明のお酒を、味わいをどうやって紹介したらいいのか、と。けれど、何より、自分が日本酒を好きであるということ。僕は乾杯から日本酒ですから。だから、僕がやることは、美味しかったことを、顔で表すこと」と話していました。最後の1滴まで杯を干す、その気持ちは日本酒好きならよく分かります。

お酒のリポーターを引き受けることに逡巡したと話していた石塚さん。 「無色透明のお酒を、味わいをどうやって紹介したらいいのか、と。けれど、何より、自分が日本酒を好きであるということ。僕は乾杯から日本酒ですから。だから、僕がやることは、美味しかったことを、顔で表すこと」と話していました。最後の1滴まで杯を干す、その気持ちは日本酒好きならよく分かります。

「麹を大切にする実家の酒造りの姿勢と蔵の歴史を守り、その殻を破って外からの新しい風を入れる、蒸しを大切にする修行先の考えを取り入れる。そして、それらを抱えて一度そこから離れ取捨選択して自分の酒を見出す」、そんな意気込みが形になったお酒です。

「酒蔵の人たちは立派です。酒造りの苦労を、米の出来不出来のせいにしませんからね。それを美味しくする技術をもっている。ちゃんと、最後にはまとめてくる。それどころか、今は、一緒に米作りもしていますから」 と、さすがによくご存じの石塚さん。
そして、気持ちは次へと移っている様子です。
「で、これと合わせる京料理はどんなものが……?」

「草喰(そうじき) なかひがし」。店の内外に季節を感じさせる設え。

「草喰(そうじき) なかひがし」。店の内外に季節を感じさせる設え。

お酒と料理の相乗効果

訪れたのは、北白川にある「草喰(そうじき) なかひがし」。育った環境も確認した上で入手したいと、畑と言わず、山と言わず、店主自ら出向くというほどこだわりの素材選びと味の良さで、ミシュラン2つ星に輝く和食の名店です。

ダジャレを交えつつも自らの食に対する向かい方を語る中東さん

ダジャレを交えつつも自らの食に対する向かい方を語る中東さん

「料理に合わせることで、お酒が生きてくる」と常に話す松本さんですが、
「良いお酒と出会って、料理は3倍美味しくなる」。と店主の中東久雄さんも。
そんな中東さんからたくさんの教えを得たという松本さん。
ここにもひとつの師弟がありました。

 丁寧に盛り付けていく中東さん。最後には3ヶ月寝かせた水出しコーヒーをご馳走してくださいました。シェリーを注ぐときのようなパフォオーマンスで。

丁寧に盛り付けていく中東さん。最後には3ヶ月寝かせた水出しコーヒーをご馳走してくださいました。シェリーを注ぐときのようなパフォオーマンスで。

「守破離」と合わせるのは、春を詰め込んだ八寸の一皿。加えて「kokon」、「no title」。

「守破離」と合わせるのは、春を詰め込んだ八寸の一皿。加えて「kokon」、「no title」。

早春のこの季節の山菜には、独特のえぐ味があるもの。
「苦味もえぐ味も、これから育つためのエネルギーなんです」と中東さん。
そして、 「苦味や酸味の大切さを教えてくれたのは中東さんなんです」と松本さん。
様々な出会いから、師となる人の教えを得て、それを取り込んで生まれてくる1本。
これから生み出されるお酒も楽しみです。

“乾杯から日本酒”という石塚英彦さんの酒蔵リポートに密着

written by伝々

【伝々(でんでん)】こと、ライターの伝農(でんのう)浩子です。 音楽雑誌編集部や旅行を扱う編集プロダクションを経てフリーランスに。 国内外を扱うガイドブックで取材スタッフを続けた後、人物インタビュー、中でも日本に住み日本の伝統文化を継いでいる外国人、日本の伝統文化を海外に広めている人などを、また、ビアトリクス・ポターと「ピーターラビット」シリーズなどをテーマに取材、執筆、撮影。 その一方で、1993年から、ある日本酒の会の試飲会を手伝い、幸せそう〜に帰っていく人たちを見送ってきました。数年前からは、日本酒を取り巻く状況もテーマとなっています。 *****過去記事***** 日本酒関係  日本酒以外

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