レポート

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日本発祥の地で醸された酒

2017 05.19

日本発祥の地 淡路島おのころ島神社

今回、夜行バスで大阪入りしたので渋滞に巻き込まれたものの朝の9時には神戸三宮に到着。三宮から高速バスで淡路海峡大橋を渡り、いざ淡路島へ!雨予報の天気ではありましたが、何とか曇りで耐えてくれていました。曇りなので大橋からの景色は楽しめませんでしたが、本来であれば瀬戸内の美しい景色が望める気持ちいいドライブです。

ご存知の方も多いと思いますが、淡路島は古事記のイザナキとイザナミに関する伝説の舞台として知られ、最初にできた島、つまり日本最古の島と言われるのがオノゴロ島と言われています。その場所は諸説あるそうですが、現在では淡路島の南に浮かぶ沼島というところがそうだったのではという説が定説とされているとか。淡路島には古事記の伝説に関連する地名や場所が数多く残されています。神社の規模では伊弉諾(いざなぎ)神宮が大きいですが、今回は内陸にありながら「島」というところに惹かれておのころ島神社に行きました。正しくは自凝島と書いて「おのころしま」と読みます。周囲には「天の浮橋」や「葦原の国」といった小さな社も存在し、想像を掻き立てます。
実際の神社は確かに島っぽい形の小さな丘の上に位置し、入り口に大きな鳥居があります。これは遠くからでもすぐに見つけられ高速道路のバス亭を降りてから少し歩くとすぐに見つけられました。近寄ると想像以上に大きい。実は「日本三大鳥居」と言われているとか。他の二つが京都の平安神宮と広島の厳島神社と聞いて「なぜここに」という驚きを感じました。
お社そのものは、こじんまりとしながらもきちっとした造りを感じさせ個人的には好きです。後ろには八百万の神が祭られているの回ってみると、後ろの造りは伊勢神宮にも似た伝統的な形の様に見えました。丘全体で雰囲気を感じさせるところですね。

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(左上)おのころ島神社正面  (右)日本発祥の碑
(左下)おのころ島神社遠景 確かに島っぽい!? 手前は玉ねぎ畑です。

おのころ神社から都美人酒造へ

おのころ島神社で都美人酒造の場所を確認すると「歩くと結構あるけど」と言われてしまったが、歩くしか手段がないのでお礼を言って歩き始めました。川沿いに頑張って歩いていると前からきた軽トラックの側面に「都美人」の文字があるではないですか。もう近いのかなと思ったとき、トラックは私の横で止まりました。「ほんとに歩いてきたんかい」と言って助手席に乗せてくれたのは事前に蔵見学をお願いしていた広報の武内さんでした。

なんとありがたい! ということでお言葉に甘えて蔵まで載せていただきました。ご厚意に感謝です。
左の写真は蔵の事務所の建物の入り口の看板です。とても趣がある建物で某局の朝ドラの撮影が行われたこともあるとか。

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都美人酒造は、昭和20年に島の南部の10蔵が合併して現在の形になったそうです。敷地も広く、事務所、休憩場所(試飲ができるところ)、精米舎(現在、精米は外部へ委託)、酒造蔵等が敷地内に広がります。兵庫県産山田錦を中心に五百万石や兵庫夢錦などを使ったお酒を造られています。私としてはWebサイトにも書かれていた合鴨農法で栽培した兵庫夢錦を使っていることに非常に興味がありました。お話を伺うと、なかなか大変な現実も。淡路島は全国的にも知られる玉ねぎの名産地です。私も小さい頃から淡路島の玉ねぎは甘くて大好きです。これは非常に水はけの良い土壌が大きなポイントとなっている=水田には向かない土壌というお話でした。また玉ねぎは稲作と比べて非常に儲けが良いということもあり、稲作をする農家自体が少ないそうです。そういった事情もあり、あまり量は作れないがこだわって合鴨農法で兵庫夢錦を契約農家の方に育ててもらっているというお話でした。このお米で作ったお酒は「若宮の雫」という銘柄で「都美人」とは別で販売されています。しっかりした味わいがありながら後キレの良いおいしいお酒でした(買って帰りました)。

槽掛け天秤搾り

4月になってから伺ったこともあり、酒造りそのものはほぼ終了ということで、きれいに片づけられた蔵の中を見せていただいたのですが、まだ最後の一番高級なお酒が小さなタンクで仕込まれていました。いい感じでブクブクと元気に発酵していていい香りがしました。高級なお酒の一部は、2001年に復活された大木の天秤と100年使っている木槽(衛生上、中面はリメイクしてあります)を使った天秤搾りをされています。写真では見ていましたが、実際に見てみるとこの天秤棒が想像以上に大きい!これは一見の価値があります。「なかなかこの大きさは写真では伝わらない」と武内さんも仰っていました。
天秤搾りについて詳しくは都美人酒造のWebサイトからも見ることができます。
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呑み比べ!

さて、最後は試飲ということで少しずつ色々と味わわせていただきました。
前述のとおり、若宮の雫は少し甘めですが非常に好みのお酒でした。旨い酒。
また、山廃純米がしっかりした酸味で山廃らしい山廃というとおかしい気もしますが、若い頃に「この味の良さがわかるかなぁ」と上司に言われながら菊姫の山廃を呑ましてもらった時を思い出させる味でした。久しぶりに関西に帰ってきていたからかもしれませんが、第一印象は本当に昔の菊姫を思い出させる味でした。言い換えると「今っぽくない」のですが、これが食事に合うのです(試飲は火入れの山廃純米でしたが山廃純米無濾過生原酒を買って帰って呑みました。)。
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そのほか、純米吟醸の「碧(あお)」、大吟醸の「凛美」、純米大吟醸の「無限大」(天秤搾りですね)、低アルコールの「ミラクルローズ」(写真真ん中の小瓶。ACL10%、精米歩合70%で山廃純米原酒)、梅酒やシークァーサー酒もとても美味しくいただきました。伝統の山廃だけではなくいろいろと取り組まれていることがよくわかりました。

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大吟醸「凛美」はちょっと特別な飲み比べをさせていただきました。最初説明なし、ラベル見ずで二種類利かせていただき「好きな方を教えてくれ」と言われ、私が選んだのは「吉川」ラベルの方でした。その後に説明を伺ったのですが、この二本は「山田錦産地違い」。ともに兵庫県産山田錦ですが、片方は「吉川(よかわ)」、もう片方は「西脇」。ほとんど隣町ですが、この吉川の山田錦は特A地区のもの。この西脇の山田錦は特Aではないものという違いでした。当然ながら価格も違ってきます。正直どちらも美味しく好みの世界だとは思いますが、自分が吉川を選んだのは何故だったのだろうか、言葉にするのは難しいです。貴重な体験でした。ちなみに写真の発行しているタンクの醪は「無限大」か「瑞寶」になるはずです。写真では違いはわかりませんけどね。。。

「ひたすらに山廃仕込み」

ところで都美人酒造のパンフレットの表紙には「ひたすらに山廃仕込み」と書いてあります。今でこそ造る蔵が増えている生酛や山廃ですが、淡路島で山廃を続けていたのかというのは正直驚きでした。そしてその伝統を引き継いでいる杜氏さんはどんな方なんだろうと。
今回は4月に伺ったこともあり、杜氏さんが不在の日でしたのでお会いできませんでしたが、武内さんにお話を伺うと現在の杜氏は10年前から造られているとのこと。当初3年連続で金賞を受賞して皆で驚いたと仰っていました。なんと当時はまだ30代だったとか。そして現在40歳とのこと。私よりもお若い方とは・・・。この杜氏は能登杜氏四天王として有名な野口杜氏の弟子ということで、若くして招かれたのだそうです。この蔵の山廃の伝統は現在は能登杜氏の山廃の技と融合して継承されているのだと思うと、山廃がおいしいのも納得です(勝手な思い込みですが)。

この都美人という銘柄は多くが淡路島で消費されるそうですが、一部神戸や大阪、東京でも入手可能です。4月中旬には池袋西武百貨店に試飲販売で来られていました。私も行って「碧」を買いました!そごう神戸や大阪梅田阪急百貨店、三越百貨店や高島屋などでも置いている場合があるようですが、試飲販売の時期ではないと高額な銘柄のみかもしれません。高額な銘柄ももちろん美味しいと思いますが、山廃純米や若宮の雫を見つけたら是非呑んでみてください。

日本発祥の地で醸された酒

written byけんけん

けんけんこと、岡 健一郎(おか けんいちろう)です。日本酒を飲み始めて20年。年を追うごとに日本酒が好きになっていき、今では周りの若い人に日本酒を薦めています。普段は全く日本酒とは関係のない仕事をして、夜には呑みに行ったり、家呑みしたりの日々を過ごしていました。また日本酒ラベルのコレクターでもあります。 sakefanサイトをご覧いただいている多くの方と同じ立ち位置からの発信をしていければと思って始めたこのコラムですが、勤めていた会社を辞めて日本酒に関係のある仕事をメインにしていこうと模索している現在です。

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