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幻の酒米「広島錦」が復活!

2017 08.18

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自社蔵から選出されたきょうかい5号酵母を復活させ、酒米「広島錦」は、新作酒「広島錦」となる。

久しぶりの酒米復活。わくわくするニュースです。

とかく背の高い品種の多い酒米は、育て難い上に、早生でなければ、刈り入れを目前にして台風が訪れることが多く倒れやすいと不利な条件で、いつの間にか消えてしまったり、背の低い稲に品種改良されてしまうことが多いようです。かつて美味しい酒が出来たと言われる米でお酒を作ってみたい、その気持ちは止められません。

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「広島錦」という酒米があったことをご存知でしたか。昭和の初めに広島独自の、最高峰の酒米を目指して開発されたというものです。しかし、これも背丈が160cmと高く、作られなくなって久しい存在だったそうです。

藤原昭典社長

藤原昭典社長

その復活に挑戦したのが、東広島市の酒都・西条にある賀茂鶴酒造。純米酒の柱をしっかり立てたいと考えていた藤原昭典社長。そのためには、何か個性が必要でもありました。米と水だけで造る純米酒なら、米も水も広島独自のものでありたい、と考えたのです。

荒巻功副社長兼製造本部長

荒巻功副社長兼製造本部長

そんなある日、古い文献を当たっていた荒巻功副社長兼製造本部長が、かつて広島錦という優れた酒米があったことを見つけます。どんなものかと調べていくうち、種籾が残っていることが分かったのだそうです。

椋田茂杜氏

椋田茂杜氏

契約農家の協力を得て、わずかな種籾から少しずつ増やしていき、酒を造れる量になるまで6年かかったそうです。

契約農家の田んぼ

契約農家の田んぼ

広島錦

広島錦

そこから託されたのは、椋田茂杜氏をはじめとする若いチーム。

収穫量を増やすことと並行して、もう一つ、復活させたものがあります。現在では、一般的な販売ルートに乗っていないきょうかい5号酵母です。

醸造協会のホームページより

醸造協会のホームページより

大正10年、当時、順位付けしていた現在の全国新酒鑑評会の前身、全国酒類品評会で1〜3位を独占。そして、協会酵母に採用されたのが、賀茂鶴酵母だったのです。

試飲させていただきました!

試飲させていただきました!

時の流れの中で、やがて使われなくなっていった5号酵母ですが、賀茂鶴酒造では、各機関に保存されていた5号酵母を入手し、過去の文献と照らし合わせて、最もオリジナルに近い酵母を選び出して、酒造りに使用。米も麹も初めてのものばかり。その苦労は大変だったそうです。

6年をかけて完成を見たのが「純米酒 広島錦」と「純米大吟醸 広島錦」aa。西条の柔らかな水を思わせるほの甘い口当たりとすっきりとしたキレ、個性的な味わい。2018年の同社創業100周年にふさわしい酒として完成したのです。

左「純米酒」右「純米大吟醸酒」

左「純米酒」右「純米大吟醸酒」

賀茂鶴酒造が、純米酒の柱として立ち上げた「広島錦」の発表イベントが、渋谷で行われました。ソムリエの田崎真也さんと料理家の栗原友さん、そして、ブランディングデザインを手がけたエイトブランディングデザイン西澤明洋さんを迎えての、100周年へ向けての華やかなプレイベントとなっていました。

日本酒好きで知られる田崎氏に続き、今回は、お酒に合わせる料理を担当された栗原さんの「実は私、結婚して本名が“賀茂”なんです」と賀茂鶴とのご縁を披露。

中でも気になるのは、田崎氏の利き酒表現でしょうか。

「皆さんと一緒にワクワクしながらいただきたい」と事前の試飲も断って、ということで、まさに、初めての感動を分かち合いながらのご感想、気になりますよね。

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まずは純米酒。

「外観は綺麗な透明感、少しシルバーのような、プラチナのようなニュアンスが含まれたクリスタルな輝き。香りはほのかにライラックのような、少しスイカズラの白い花の香りが感じられます。その中に白玉団子の上品な米の香り、そこへホイップクリームを口に含んだときの独特の脂性分の滑らかさ。さらに杏仁豆腐の杏仁、ビターアーモンドの香りが加わり、穏やかな中に上品な印象を加えています。5号酵母の印象でしょう、バナナやマスクメロンの少しだけライチの白いイメージを感じる果物の香り。それが穏やかな中にも華やかな印象を与えます。口に含んで舌の先に触れた瞬間、やわらかでふくよかな甘み、その後にうまみがのってきます。酸味が非常に穏やかで全体に溶け込み非常にまろやか。薄くミネラル感があり、ビターフレーバーが持続します。10〜12℃くらいか、45℃くらいでお燗をつけてゆっくりと温度が下がっていくプロセスでまろやかさから、爽やかさを感じる飲み方を楽しめるのではないでしょうか」

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そして、純米大吟醸酒。

「外観は出来たて、先ほど同様にプラチナのようなクリスタルな透明感。香りはぐんと華やかに広がって、最初にお花の香り、こちらは麝香を含んだ複雑性のあるジャスミンやアカシアのような花の香りが強く、それに華やかな深みとフルーツの香り。これは1801酵母と5号酵母の融合ですから、1801酵母の、リンゴのゴールデンデリシャスのコンポートのような香り、そこへ5号酵母のメロンや、ちょっと白桃、イチゴミルクといったフルーツの香りが全体的に感じさせ、それら全体を杏仁豆腐のような香りが包み、最後まで余韻が長く持続します。口に含んだ瞬間に柔らかでふくよかな甘味があります。日本酒のやわらかな甘味がどのように感じられるか、表現としては必要かと思います。やわらかな甘味、まろやかな甘味、ふくよかな甘味につながっていきながら、純米酒と違って、そのあと爽やかな印象を与える酸味、心地よい、ちょっと緑を感じる味わいが爽やかさを与えるニュアンスとして感じられながら、そのまま余韻へ(とつながり)、フレッシュ感を伴った印象で長く余韻が持続して、最後にアフターの香りとして、少し緑の香りが残りつつ、(全体的に)フルーツの香りがしている、といった感じです」

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幻の酒米「広島錦」が復活!

written by伝々

【伝々(でんでん)】こと、ライターの伝農(でんのう)浩子です。 音楽雑誌編集部や旅行を扱う編集プロダクションを経てフリーランスに。 国内外を扱うガイドブックで取材スタッフを続けた後、人物インタビュー、中でも日本に住み日本の伝統文化を継いでいる外国人、日本の伝統文化を海外に広めている人などを、また、ビアトリクス・ポターと「ピーターラビット」シリーズなどをテーマに取材、執筆、撮影。 その一方で、1993年から、ある日本酒の会の試飲会を手伝い、幸せそう〜に帰っていく人たちを見送ってきました。数年前からは、日本酒を取り巻く状況もテーマとなっています。 *****過去記事***** 日本酒関係  日本酒以外

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