レポート

Report

東京の蔵を訪ねる

2018 01.11

東京の蔵で、沢蟹がトレードマークの蔵元といえば「小澤酒造」ですよね。「澤乃井」という銘柄を醸しておられる蔵元です。今回は東京の蔵元「小澤酒造」の訪問レポートです。
蔵正面入り口
小澤酒造さんの正面入り口。茅葺屋根が雰囲気いいです。

綺麗な水がある所に多く生息する沢蟹ですが、小澤酒造はまさに「東京で綺麗な水」と言えば多くの人がイメージするであろう奥多摩地域、多摩川の上流にあります。
蔵の名称も「小澤」ならば銘柄も「澤乃井」と「澤」の字が。そして最寄駅もJR沢井駅と、もう「この場所、昔から沢だったでしょ」と言いたくなる揃いっぷりです。東京・新宿から中央線で立川へ、そこから青梅線にしばらく乗るとJR沢井駅があります。新宿からなら100分位です。小澤酒造はこの駅の目の前にあります。と言っても入り口は反対側なので一応徒歩5分と言われますが、駅を出て数歩で敷地説明の看板がありますので本当に目の前ですね。アクセス抜群です!

今回はVacation Japanのイベントです

Vacation Japanは「日本の伝統文化、国際交流、地域活性化に貢献する専門家集団」が開催するイベントということで、今回の参加者にも外国の方が3名参加されていました。
まずは蔵の説明を蔵元の小澤さんからしていただきました。蔵は江戸時代、赤穂浪士の討ち入りの頃(忠臣蔵ですね)から始められており、元禄蔵と呼ばれる蔵が現存しています。現在は貯蔵用の蔵ですが梁も大きく立派です。この蔵が狭くなって明治に一度増築されたのが明治蔵。ここでは30年程前まで仕込みをしていたとのこと。現在はここも貯蔵庫でした。そして平成になって現在使用している平成蔵を増築。着々と拡大されています。
杜氏は元々は越後杜氏が仕込みの季節だけ来ていたのですが、現在は杜氏も蔵人も年間社員雇用されています。小澤さんは「杜氏さんたちはいつも夏に何をしているのですか」と聞かれるんですよ、と仰っていました。実際は徹底的に蔵内や機械の分解清掃をして次回の仕込みの計画を立てているとあっという間に夏は終わってしまうそうです。今は結構機械が導入されているので自分たちで分解清掃するというのは大変なことですね。でもそこもこだわりといった感じでした。

水は冒頭に書いた通り沢なので苦労しないのだろうなと思って聞いていると、珍しい言葉が聞こえてきました。「横井戸」。皆さんご存知でしょうか。私は勉強不足で始めて聞きました。井戸を横に掘るのです。実際に見せていただきましたが、横向きに掘った穴に水が流れているのです!
横井戸
横井戸入り口の立て看板と実際の横井戸。数m穴に入ると水が溜まっているのがガラス越しに見えます。

これも説明を伺うと「なるほど!さすが沢!」ということなのです。沢なので周囲を山に囲まれています。横に掘ったところでも十分に山で濾過された水が出てくるのです。この井戸は「蔵の井戸」と呼ばれていて中硬水のミネラル豊富な水とのこと。蔵としては吟醸酒を増やす中でミネラルが少ない軟水も欲しいなあと考えていたところ、20年ほど前に4km離れた山で掘った井戸がなんと軟水!ということで今は両方を使っているそうです。ミネラルが少ないと菌の発酵が緩やかで吟醸系が造りやすいのだとか。この様に近くの水で水質が異なる水源を持てることは珍しい事なのだそうです。やはり水に恵まれた地なのですね。
その代わりと言う訳ではないですが、周囲は稲作が元々あまり行われておらず、酒米の調達は周囲では出来ないので別の地域から購入しているそうです。
小澤酒造としては、やはり水がとても大切ということで、水を守るために山を守る、自然を守るという考えのもと周囲の自然を守っていくことが使命だと仰っていました。

また元禄蔵、明治蔵と貯蔵庫がある事もあり、瓶でずらりと熟成酒が並べられていました。純米大吟醸の熟成酒もあります!今まで小澤酒造の熟成酒は飲んだことが無かったので、今日飲めるのか気になって仕方がなくなってしまいました。。。
貯蔵蔵熟成
貯蔵蔵には熟成酒がずらり! 中には2000年(12BY!)の純米大吟醸も!

試飲コーナーやレストランもあります

多摩川
多摩川には橋が架かっていて向こう岸にも行けます

蔵の説明の後は、道を挟んだ向かいに小澤酒造が経営するレストランと休憩場所、それと試飲コーナーがあるのでそちらへ移動して休憩です。さすが蔵元の試飲コーナー。お猪口付きでこの価格!しかも2杯目からは100円引きって。。。しかもお猪口は大きいタイプ。この後、お酒のセミナー&お食事会が予定されていたのですが、飲むしかないですよね!
主催者の方にこの後に出るお酒を聞いて、それ以外をLET‘S試飲!
すぐ横に多摩川が流れていて非常に良い景色。これは紅葉の季節は凄いでしょうね。お酒だけでなく、川のせせらぎと周囲の景色にも癒されます。
利き酒
唎酒コーナーはさすが蔵元の価格!お猪口は小さいサイズでは無いです!

お酒のセミナーは日本酒ワイン醸造コンサルタントの高橋千秋 医学博士による「菌のストレスと日本酒について」。外国人の方も含めお酒に詳しくない方も多い中、deepなテーマだなーと思いきや、このテーマで日本酒の特徴を分かりやすく説明されました。少しビックリです。これは飲み会の席で使えるなーとほくそ笑みながら聞いてました。
お酒は今年の新酒の本醸造から昨年の造りの定番酒(純米、純米吟醸、生酛純米吟醸)に純米大吟醸の熟成酒も出ました!しかも燗まで!
熟成酒を飲んで中国の方が「紹興酒に近いですね」と言われていて「やっぱり!」と思ったり(なんとなく日本人が言うより説得力がありますよね)、スペインの方が意外にたくさん飲めなかったり(ワインは昼から飲んでいると言っていたのに)と、楽しみながらやっぱり自分は生酛の燗酒が一番好きだなぁと再認識したりしていました。

初めて会う人達と色々とお酒の印象を語ると新鮮な感想が出たり、自分と違う印象の方が多かったりと凝り固まっていた自分の頭が柔らかくなる気がします。
忘年会や新年会で普段飲まない人と飲む機会もあると思いますが、仕事の話だけではなくてお酒の好みを聞いてみるのも楽しいかもしれません。

東京の蔵を訪ねる

written byけんけん

けんけんこと、岡 健一郎(おか けんいちろう)です。日本酒を飲み始めて20年。年を追うごとに日本酒が好きになっていき、今では周りの若い人に日本酒を薦めています。普段は全く日本酒とは関係のない仕事をして、夜には呑みに行ったり、家呑みしたりの日々を過ごしていました。また日本酒ラベルのコレクターでもあります。 sakefanサイトをご覧いただいている多くの方と同じ立ち位置からの発信をしていければと思って始めたこのコラムですが、勤めていた会社を辞めて日本酒に関係のある仕事をメインにしていこうと模索している現在です。

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