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和歌山で山廃を呑む

2018 05.08

前回の淡路島レポートに続き、関西移住レポート第二弾は「和歌山」です。淡路島の都美人酒造の山内杜氏と兄妹弟子である能登杜氏の藤田杜氏がおられる吉村秀雄商店へ伺いました。「車坂」「日本城」「鉄砲隊」などの銘柄を造られています。

まず25分歩きます

吉村秀雄商店は、JR和歌山駅から和歌山線で山の方へ20分ほど行った岩出駅が最寄りとなります。駅からは徒歩25分ほど。岩出駅前からタクシーでも行けます。阪和線(大阪・天王寺から和歌山までの線)の紀伊駅からタクシーで行くルートも蔵元のおすすめです。
紀ノ川よりも北側です。地図で見ると近いのですが現地では川は感じられなかったです。国道24号線から少し脇に入ったところに直売所があり、もう少し進むと蔵元の事務所があります。その奥が造り蔵です。事前に伺うことは連絡はしていたのですが、あまりに立派な門構えだったので「本当にここだろうか・・・」と入るのに躊躇してしまいました。
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吉村秀雄商店玄関

土壁蔵の中には近代的な箱部屋が

造り蔵は工場長の池田さんに案内していただきました。3日後で皆造(かいぞう:すべて造りを終えること)ということで蔵の中はキレイに片付いており、搾り機などは中の蛇腹が全て取り除かれて枠だけという初めてお目にかかる状態でした。蔵は5期前に藤田杜氏が来られてから複数年計画で蔵の改造を進めていました。初年度は麹室、次年度は瓶詰機、次は蒸釜、酒母室、保管庫などなど。土壁蔵の中に麹室、酒母室などは完全温度管理の部屋を新しく置いた感じです。以前は灘にも蔵があり、5000石造られていたそうですが、現在は500石ほどに限定して品質の向上と安定を図っているとか。ゆくゆくは1000石までは増やす計画と伺いました。すごく具体的な計画をもって進めておられて驚きました。

蔵の中を案内していただきながら「なんだかすごく広いなぁ」と感じていました。もちろん元々5000石造っていたわけですから広いのは当たり前だけどと思っていたところ、「昔は東蔵と西蔵で2人の杜氏が競い合っていたんですよ」という説明が!当時は但馬杜氏が蔵人込みで2セット。味を競い合っていたそうです。広いはずです。
そしてこの蔵には大きな地下倉庫があると伺っていたので、見せていただきたいとお願いしようとしていると、先に「地下も見ますかー」と言っていただけました!蔵の真ん中に地下への階段が。これは想定外のいい雰囲気です。
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地下保管倉庫

現在は山廃を多く造っており、藤田杜氏の考え方もあって熟成にも力を入れておられるとのこと。山廃は基本的に3年しないと出したくないと思っているくらいだそうです。地下は全て瓶貯蔵。通い箱に年度と種類が書いて貼られています。見ているだけでワクワクするものばかりです。現在、地下は5~7度の部屋と10度の部屋があり、地上に1~2.5度の冷蔵室が別途ありました。それぞれ状態に合わせて入れ替えていくそうです。かなり贅沢な貯蔵設備ではないかと感じました。色々と保管の過程を試すことができる分、難しい気もします。

試飲です!

試飲は蔵見学の後、直売所でということで、直売所の準備ができるまで少し事務所で待たせていただいてから、事務所の方に連れられて移動しました。私が山廃好きであることをお伝えしたところ「では呑み比べがいいですよね」ということで、写真のラインナップ!ウレシイ! 右から(銘柄は全て車坂)
・27BY 速醸純米酒 五百万石
・27BY 山廃純米酒 五百万石
・27BY 山廃純米大吟醸 無濾過生原酒 山田錦
・27BY 速醸純米大吟醸 瓶囲い一つ火 山田錦
・29BY 速醸純米酒 生酒 玉栄
・29BY 山廃純米酒 生酒 五百万石
・27BY 山廃純米 無濾過生原酒

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試飲

個人的に一番気に入ったのは「27BY 山廃純米酒 五百万石」でしょうか。王道と言われればそれまでですが、やはり美味しかったです。能登杜氏の山廃には五百万石が合うのでしょうか。やはり酒米の特性を良くご存じなのでしょう。純米大吟醸は山廃らしさはあるものの酸が落ち着いているため個人的には純米に軍配があがりました。もちろん「そのほうが良い」というご意見もあると思います。そこは是非呑んで確認してみてください。意外にも「29BY 速醸純米酒 生酒 玉栄」も山廃かと間違うような味わいがありました。なかなかに興味深いです。
また、購入して帰った「26BY 山廃純米酒 五百万石」。これが素晴らしい味わいでした。熟成感があり、お酒だけ(アテなし)でもいけます。もちろん揚げ物にもよく合います。バーボンが好きな方にも喜ばれそうだと感じました。

訪問が終わってから教えてもらった蔵の裏をちょっと覗きました(下の写真)。季節が来たらここは水田になるそうです。まだまだ独自で仕込める量はないというお話でしたが、米作りも少し行っているそうです。来年度は是非自営田の米だけの仕込みもしてほしいなぁと勝手に思いながら駅まで歩きました。

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蔵遠景

和歌山で山廃を呑む

written byけんけん

けんけんこと、岡 健一郎(おか けんいちろう)です。日本酒を飲み始めて20年。年を追うごとに日本酒が好きになっていき、今では周りの若い人に日本酒を薦めています。2017年までは普段はIT関係の仕事をして、夜には呑みに行ったり、家呑みしたりの日々を過ごしていました。 sakefanサイトをご覧いただいている多くの方と同じ立ち位置からの発信をしていければと思って始めたこのコラムですが、勤めていたIT企業を辞めてネット専業の酒屋になりました(それだけではありませんが)。 また日本酒ラベルのコレクターとしては集めたラベルのデジタル化(blog化)を始めました。ご興味のある方はご覧くださいSAKE-LABEL.COM(https://sake-label.com)

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