レポート

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『御前酒』が奏でた「日本酒と音楽をきく会」

2012 12.23

雄町のふるさと岡山から辻本店若き蔵元!

造り手も、飲み手も、多くのファンを持つ酒米(酒造好適米)雄町。
——と言えば、岡山県(岡山県と広島県の位置関係、わかりますよね?^^)。

雄町は、日本最古の酒米(酒造好適米)であり、山田錦や五百万石などのルーツでもあるんですね。

手前の稲が雄町。すてきなディスプレイでみせます。

御前酒蔵元辻本店」さんは、県内でも北側にある歴史の町・真庭市勝山で、文化元年(1804年)から酒造りを続けているお蔵さんです。勝山藩主に献上していたことからその名がつき、当時は『御膳酒』と書いたのだそうです。

音楽活動や俳優業もしていた7代目、辻総一郎さん。

2007年に岡山県初の女性杜氏となった姉の辻麻衣子さんと、姉弟で酒蔵を守り運営をしているのが、7代目、辻総一郎さん。

今年の4月、お二人のお父様で前社長の辻圴一郎氏が、自社を解放して盛大に開催した、第1回「御前酒祭り」の直後に急逝されました。そして、総一郎さんが社長に就かれたのでした。

この秋、「いいね!日本酒。」にご参加いただいた、と思っていたら、ちょうど東京でイベントが行なわれるというので、お伺いしました。

開催されたのは11月2日。
ちょっと時間が経ってしまいましたが、素敵な会でしたのでご報告します。

提供されたお酒は冒頭の写真の5種類6通り。

左から、「御前酒 菩提酛 夏仕込み」、「御前酒 山廃純米 昔造り」、「GOZENSHU 9 ブルーボトル」、「GOZENSHU 9 グリーンボトル」、「御前酒 純米 菩提酛濁り酒」、「御前酒 山廃純米 昔造り」の燗。

中でも「9(ナイン)」とは、麻衣子杜氏を中心に9人の若い蔵人たちが若い人に向けて作った新しいコンセプトのブランド。2008年のスタート時には、3週間で完売し話題になりました。伝統を今に生かそうと、スタイリッシュなボトルからもその意気込みが伝わってきます。(ご想像通り、よく「9号酵母ですか?」と言われるそうです)

違いを楽しんでもらうために、順番に飲み干してからカウンターへ行って次をいただく、というスタイルがなんだか楽しめました。

主催した酒食ジャーナリストの山本洋子さんからお酒や料理の愛情あふれる解説。

場所は青山のヴィーガンカフェ『PURE CAFE』。表通りから1本入った静かな通りに面し、ガラス張りのAVEDAサロンの1階にあります。女性好みですねぇ。イベントなどで、ときどき利用させていただくことがありますが、どれもおいしい! 日本酒ファンの間でも知る人ぞ知る、日本酒のラインナップが充実したカフェなのです。

『御前酒』の特徴と言えるのが菩提酛造り。鎌倉時代以降に開発されたといわれる造り方だそうで、大正時代頃にはほとんど途絶えてしまっているのだとか。

現在、最も広く行なわれている速醸造りでは一般的に、酒母=酛を造る際に蒸し米、麹、酵母、仕込み水と一緒に市販の精製した乳酸を入れますが、菩提酛を造る際には、この乳酸を自分で造って入れるというものです。生米と蒸米を水に浸けておくと、乳酸菌を大量に含んだ水、「そやし水」ができあがります。この乳酸入りの水を、仕込み水にして酒母を仕込むということです。

ただし、辻本店さんでは、この菩提酛の造り方をベースに、先代杜氏が研究を重ねて編み出した製法で御前酒菩提酛を造るとのこと。それは、生米と蒸し米の代わりに少量の米麹だけを水につけて乳酸を繁殖させて独自の「そやし水」を造り、さらに、安全性のために加熱殺菌してから仕込み水にするというものです。

菩提酛だけでなく、違いがわかります。

この日は「そやし水」を持参してくださり、試飲させていただいたのですが、乳酸を含んでいるということで 、やや白濁した水。ほのかに甘みと酸味があっておいしかったのです。

菩提酛についてのわかりやすい説明図も用意してくれましたし、さらに、分厚い資料も持参して説明をしてくださいました。

流通情報企画の小島稔氏からも激励
日本酒ジャーナリストの松崎晴雄さんと山本洋子さん

 

実は、この日は7代目に代替わりして初のお酒の会だったのだそうです。BGMには、Jazz好きだった先代が送り出された日にも流れていたというビートルズ。

謙虚で前向きな若き蔵元とそれを見守る暖かいまなざしに、なんだかこちらも温かい気持ちになって帰路についた日でした。

余談ながら、お写真でしか拝見していませんが、なんとなくいい味出しているお姉様、麻衣子杜氏にも、ぜひお会いしてみたくなりました。

 

 

 

『御前酒』が奏でた「日本酒と音楽をきく会」

written by伝々

【伝々(でんでん)】こと、ライターの伝農(でんのう)浩子です。 音楽雑誌編集部や旅行を扱う編集プロダクションを経てフリーランスに。 国内外を扱うガイドブックで取材スタッフを続けた後、人物インタビュー、中でも日本に住み日本の伝統文化を継いでいる外国人、日本の伝統文化を海外に広めている人などを、また、ビアトリクス・ポターと「ピーターラビット」シリーズなどをテーマに取材、執筆、撮影。 その一方で、1993年から、ある日本酒の会の試飲会を手伝い、幸せそう〜に帰っていく人たちを見送ってきました。数年前からは、日本酒を取り巻く状況もテーマとなっています。 *****過去記事***** 日本酒関係  日本酒以外

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