箸休め

Sake-break

コメ比べ&クラ比べ 

2016 07.02

コメ違いクラ違いを感じてみると言っても難しい

私は普段から「雄町が好きだ」「愛山は旨い」などと言ってみたり、珍しい酒米のお酒があるとつい買ってみたりしてしまう「コメ好き」な酒飲みです。最近、水もすごく気になるのですが、それは一旦置いておいて、ではどれだけコメの違いを分かって飲んでいるのかと改まって聞かれると自信がグラグラ揺れまくります。
そこで名古屋や東京に純米酒専門店を展開されている八咫さんの新宿三丁目店で勉強要素満載な「日本酒 タテ飲みヨコ呑み 酒米編」というイベントに参加してきました。今回は6種類の酒米について各米3銘柄のお酒を利きながら酒米の特徴を感じてみたり、造り手による違いを感じてみるという内容でした。
酒米は次の6種類。 

〇山田錦(やまだにしき)酒造好適米
生産量1番。一番有名な酒米ですよね。他は知らなくてもこれは知っているという人も多数。生産は兵庫県が中心で県の真ん中辺りの東条や吉川地区などエリアによってランクが付きます。特Aが最上位です。父は短稈渡船(雄町直系)、母は山田穂。

〇五百万石(ごひゃくまんごく)酒造好適米
生産量2番。北陸、新潟や東北でよく使われます。山田錦に抜かれるまで2000年まで40年間生産量1番でした。父は新200号(神力・亀の尾の流れ)、母は菊水。

〇美山錦(みやまにしき)酒造好適米
生産量3番。生産は長野県が中心。父母はなく、たかね錦の放射線変異で誕生。

〇雄町(おまち)酒造好適米
私の好きな結構古い歴史ある酒米。100年以上途切れなく生産されている唯一の品種。生産は岡山が中心。偶然見つけた穂から栽培したと言われている(二本草からの改名ともいわれる)。備前雄町、赤磐雄町などは地域ブランドになってますね。

〇愛山(あいやま)酒造好適米
生産量が少なく高価な酒米。生産は兵庫県のみ。父は山雄67、母は愛船117。祖父母に山田錦と雄町がいます。もともと剣菱のみが使っていた酒米が阪神淡路大震災時に十四代で有名な高木酒造にも渡り、広まったなんて話も。

〇亀の尾(かめのお)飯用一般米:食用ってことです
こちらも生産量が少ない品種。在来品種の惣兵衛早生から選抜されたもの。生産は東北が主。一度生産が途絶えたところを新潟の久須美酒造が復活させた。この話が漫画「夏子の酒」のモデルですね。

注:米の説明はイベント資料と「酒米ハンドブック」に記載されている内容をもとに記載しています。

こんな感じで書いていくと「なんか難しそうでよくわかりませんが」という方が続出してきそうなので、ここからはもう少しライトに書きますね。

横に6つ縦に3つのカップにお酒が注がれます

銘柄は、「その米での造りが上手だと言われる蔵」とか「その米の主生産地の蔵」という考え方で選定されたそうです。一つの蔵で米違いで造られているものが手に入ったところは出来るだけそれを並べ、比較しやすくしてくれていました。
神奈川の川西屋酒造は山田錦、五百万石、美山錦、亀の尾の4種類。栃木のせんきんは山田錦、雄町、亀の尾の3種類。兵庫の本田商店は山田錦、雄町の2種類。ゲストで山田穂もありました。詳しくは以下の通り。皆さんも一度は飲んだことがある銘柄も多いのではないでしょうか。

<山田錦>
神奈川の川西屋酒造「隆 純米吟醸 生酒26BY」
栃木のせんきん「仙禽 中取り無濾過原酒」
兵庫の本田商店「龍力 特別純米 無濾過生原酒」
<五百万石>
神奈川の川西屋酒造「隆 純米吟醸 生酒26BY」
新潟の青木酒造「鶴齢 特別純米 寒熟(1年熟成)」
静岡の英君酒造「英君 純米吟醸 無濾過生原酒」
<美山錦>
神奈川の川西屋酒造「隆 純米吟醸 生酒26BY」
秋田の秋田清酒「やまとしずく 純米生詰」
山形の奥羽自慢「奥羽自慢 純米吟醸 無濾過生原酒」
<雄町>
広島の金光酒造「賀茂金秀 純米吟醸生」
栃木のせんきん「仙禽 中取り無濾過原酒」
兵庫の本田商店「龍力 特別純米 無濾過生原酒」
<愛山>
栃木の小林酒造「鳳凰美田 純米吟醸 無濾過本生」
茨城の来福酒造「来福 純米吟醸 生原酒」
秋田の日の丸醸造「まんさくの花 純米大吟醸 生原酒」
<亀の尾>
神奈川の川西屋酒造「隆 純米吟醸 生酒26BY」
栃木のせんきん「仙禽 中取り無濾過原酒」
秋田の朝舞酒造「天亀 純米吟醸生原酒」

用意された18銘柄+おまけ2つ

私は少しずつ飲みながら、香り/味わい/酸/その他 の分類で感想を書いてみました。その他以外は大/中/小で記載。思っていた以上に米の違いを感じました。あまり冷やしていない状態だったので香りは全体的に少なめでした。感想を書いていて気付いたのが「苦味」です。苦味を感じるお酒は結構多く、その感じ方が印象に大きな影響を与えていたと思います。そしてその苦味が基本的にないのが「山田錦」でした。ただそれが良いかというと個人的には物足りなさを感じることも多いです。
また、とても面白かったのが「仙禽」です。3種の米違いが用意されており、どれもそれぞれの米の特徴を感じるのですが、それ以上に「仙禽の味」と言えるような統一的な個性がありました。これは酸によるものなのか、何によるものかわかりませんが「スッキリ」とか「サッパリ」という言葉が浮かぶ独特な味わいです。冷やすと恐らくここまでは感じないと思います。仙禽をいただくときはキンキンに冷えていることが多いのでここまでとは気づきませんでした。自宅で「仙禽 カブトムシ」を呑んだときにもやはり同じ感じがしました。これだけ酒の個性を確立させて多くの人に喜ばれる味を提供しているのは凄いと思います。

ただ飲んでいると傾向としては米の違いが判るのですが、同じ米でもやはり味は蔵でそれぞれ違います。もちろん水の影響もあるでしょう。今回ご用意されたお酒は、精米歩合や酵母も意図的にそろえたりと非常に工夫されたラインナップだったので違いが際立った様に思います。
イベントの最後に主催者の方がこう言っていました。「一つの日本酒を飲んで『これは山田錦だ!』等と見分けるのはほぼ不可能です。ただ品種によって日本酒の出来栄えが異なるのは事実と言えます。製品への影響は、杜氏さんの腕7割、原料3割程度。」
確かに典型的なものを比べないとなかなか識別は難しいです。ただ味の好みの指標のひとつには間違いなくなると再認識しました。やまぐち地酒維新イベントで西都の雫を飲み比べた時も感じましたが、やはりその米をどう酒にするか、杜氏の腕により酒は変わります。米を意識するとともに造り手の杜氏を意識して飲んでみるのも面白いと思います。実は杜氏さんは意外に蔵を移動しているのです。勿論、蔵元杜氏の場合動きませんが。

ということで次回は気になる造り手の話を書きたいと思います。

コメ比べ&クラ比べ 

written byけんけん

けんけんこと、岡 健一郎(おか けんいちろう)です。日本酒を飲み始めて20年。年を追うごとに日本酒が好きになっていき、今では周りの若い人に日本酒を薦めています。普段は全く日本酒とは関係のない仕事をして、夜には呑みに行ったり、家呑みしたりの日々を過ごしていました。また日本酒ラベルのコレクターでもあります。 sakefanサイトをご覧いただいている多くの方と同じ立ち位置からの発信をしていければと思って始めたこのコラムですが、勤めていた会社を辞めて日本酒に関係のある仕事をメインにしていこうと模索している現在です。

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